残留農薬が子供に与える影響とは

残留農薬と聞いても、あまりイメージや実感が湧かない方がいるかもしれません。しかし、農薬は身近に使われているため、知らないうちに体に吸収され、悪影響を及ぼしている可能性があるのです。特に、子供は影響を受けやすいので注意が必要です。

今回は、残留農薬の実態と、家庭でできる対策について詳しく見て行きましょう。

残留農薬とは

残留農薬とは、主に農作物に残ったままの農薬のことです。農薬は、害虫や病気を予防し、農作物の品質を維持するために一定期間使われます。また、人体に影響が出ないように、農薬取締法によって、散布する農薬の種類や量が定められています。

しかし、農作物の種類や条件によっては、農薬が淘汰されずに残り、そのまま口にしてしまう危険性があるのです。残留農薬の恐ろしい点は、人の目には見えないことです。匂いや味も感じないため、仮に食べてしまっても自覚症状はありません。

もちろん、ごく微量であれば、代謝によって毒素が中和されるので、何ら問題はありません。しかし、継続的に摂取し続けたり、許容量を越えてしまった場合、人体に悪影響を及ぼす恐れが無いとは言い切れないのです。

ネオニコチノイド系農薬と子供への影響

農薬には、数多くの種類があり、ネオニコチノイド系農薬もその一つです。少量で効果が高いため、1990年頃から使われ始め、同時期に世界各地でミツバチの大量死が相次ぎました。ネオニコチノイド系農薬は、アセチルコリンという神経伝達物質の働きを異常に高め、脳や運動機能の障害を引き起こすことで、害虫を死に至らしめる殺虫剤です。

そのため、蜂の巣の周辺で散布されたネオニコチノイド系農薬が、ミツバチにも影響を及ぼした可能性が高いのです。

また、同農薬を散布した水田では、羽化するアキアカネが7割近く減少した例もあり、極めて強い殺虫効果があることが確認されています。

ネオニコチノイド系農薬の影響を受けるのは、虫だけとは限りません。なぜなら神経伝達物質のしくみは、人間も同じだからです。確かに、人は虫よりも遥かに体が大きいため、少量では死に至りません。しかし、体内に取り込まれた農薬が蓄積され続けると、人体に悪影響を及ぼす可能性があるのです。

特に未発達な子供の脳は、外部からの影響を受けやすいため、知的障害や精神障害になる確率が高いことが懸念されています。農薬汚染により、神経伝達物質が過度に働く状態が続くと、集中力が長続きしない注意欠如多動症や、周囲と上手くコミュニケーションが取れない自閉症へのリスクが高まるのです。

子供が好む危険な食品

残留農薬が多い食物は、主にリンゴやイチゴなどの果物です。糖度が高いため虫が付きやすく、品質を保持するために多くの農薬が使われています。しかし、子供は大人よりも果物の摂取量が多く、残留農薬の危険性が高まっています。

スーパーでも、子供向けのリンゴジュースが多く売られており、ストックする家庭も多いです。また、擦りおろしリンゴは離乳食にもなっており、子供が口にする頻度が高い食べ物の一つです。ビタミンが豊富で整腸作用があるため、体に良い食物としてのイメージが強く、残留農薬の高さに対する認知度は低いのが現状です。

イチゴも、子供が好む食べ物の一つです。しかも、リンゴのような皮が無いため、農薬の付いた部分も丸ごと摂取してしまいます。果実が柔らかいので、洗わずに食べる人も多く、農薬を落とさずに口にする危険度も高い食品です。

また、ほうれん草は害虫に弱いため、野菜の中では農薬の量が多い食べ物です。葉に直接農薬を散布するため、残留農薬の多くを口にするリスクも高いです。しかも、日本政府により、ほうれん草の残留農薬含有量の規定が緩和されたため、より多くの農薬が使われる危険性もあり、残留農薬を増やすリスクも懸念されています。

緑黄色野菜で栄養価が高く、彩りも良いため、肉料理の付け合わせなどで食卓に上りやすく、子供が口にする機会も多い野菜の一つです。

リンゴに含まれる残留農薬に気を付けよう

残留農薬の減らし方

残留農薬は、家庭でも減らすことができます。まずは、よく流水で洗うことです。表面に付いた農薬を落とすことができますし、コストもかからず実践しやすいです。ほうれん草は、根本にも農薬が残っているので、ボウルに水を張って数分浸けた後、振り洗いをすることで、よりしっかり落とせます。

リンゴのように皮が付いた果実は、外側に多くの農薬が付着しているので、皮を剥くことで大部分を減らすことができます。水に少量の酢や重曹を混ぜ、浸け置きしてから洗い流すのも効果的です。また、残留農薬を落とす専用の洗浄水も市販されています。

成分は、アルカリイオン水と炭酸カリウムなので、人体に影響が無く安全です。値段は400ml入りで1500円〜2000円程度が相場で、食物にスプレーして全体になじませた後に水で洗い流すだけなので、手軽に使えます。

また、落ちた農薬を目で確認することもできるので、実感を得やすいです。より確実なのは、無農薬の野菜や果物を買うことです。値段は高めですが、農薬が使われていないので残留農薬の含有はありません。お金をかけても、安全性を求める方におすすめです。

身近にある危険な薬剤

農薬は、農作物に限ったことではありません。殺虫剤や除草剤など、家庭で身近に使っている薬剤も、実は農薬の一種なのです。殺虫剤を噴射すると、霧状の薬剤が広範囲に広がり下に落ちてきます。そのため、多くは髪や皮膚などにも付着し、吸収されてしまうことが多いのです。

また、除草剤に含まれるグリホサートも農薬の一つで、発がん性があることが指摘されています。地中への影響も残りやすく、周辺の植物も除草剤により汚染されてしまいます。しかし、大半の人は、こうした家庭用の薬剤には無頓着で、マスクや眼鏡で保護することもありません。

そのため、知らず知らずのうちに体内に取り込み、悪影響を及ぼしているのです。

特に子供は体が小さく、大人に比べて許容量も少ないため、影響を受けやすいです。化学物質を長期的に吸い続けることで、化学物質過敏症になったり、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの一因ともなっているのです。家庭で使う薬剤は最小限にして、皮膚に付着したり吸い込んだりしないように気を配ることが必要です。

知れば減らせる残留農薬

残留農薬は、主に農薬が残った食材のことで、子供の知的障害や精神障害を引き起こす一因と言われています。しかし、流水で洗ったり、専用の洗浄水を使うことで、摂取する量を減らすことができます。また、身近にある殺虫剤や除草剤にも農薬と同じ成分が含まれているものがあり、大量に吸収しないように注意することが必要です。

参照元>>農薬残留 … QSAI